法人設立時や法人成り時の損益の帰属(個人の損益か、法人の損益かの線引き)

※【免責事項】当記事は投稿日時点に施行される法令に基づき一般的な取扱いを記載したものです。閲覧者が当記事を参考にして行った税務申告は閲覧者自身の責任によって行われ、当記事の内容に誤りがあり閲覧者に損害が生じた場合でも当事務所は責任を負いません。
法人の設立登記が完了する前に法人として取引することがあります。
例えば以下のような場合です。
- 設立予定日に先行して取引先から仕事をお願いされて業務を提供して請求を行う場合
- 法人設立に向けてオフィスの賃料など経費が発生する場合
このような場合に、法人の売上や経費としてすべきでしょうか、それとも個人の所得として計算すべきでしょうか?
答えは通達で規定されています。以下で新設法人の場合と、法人成りの場合に分けて通達の内容を解説します。
目次
新設法人の場合
新設法人の場合、法人の設立期間中に生じた損益は、法人の設立初年度の損益として計算することができるものとされます。法律上は設立登記がされることで初めて法人が設立されることとなり、税法においても同一の解釈となっています。ただ、設立登記される前の設立準備期間中であっても法人として取引を行うことは現実的には生じます。そこで、このような容認規定が設けられています。
ただし、例外として設立期間が長期に渡るような場合には上記のような法人の損益として計算する取扱いは出来ないこととされています。
法人成りの場合
個人事業主が個人事業を廃業して、その事業を新設法人として開始することを法人成りと言います。法人成りの場合には、上記のような取扱いは認められていません。したがって、設立登記日の前日までに生じた損益は全て個人事業の損益(事業所得)として所得税の所得として計算することになります。