社員食堂の課税関係まとめ【昼食代の補助】

社員食堂は、福利厚生目的で会社自身が食堂を運営しているケース(直営方式)と、社員食堂の運営を外部の食堂運営事業者に委託契約して会社は食堂の場所の提供と食事代の補助のみを行っているケース(委託方式)があります。

この記事では、両者の違いをふまえつつ、所得税、消費税の課税関係について解説します。

※【免責事項】当記事は投稿日時点に施行される法令に基づき一般的な取扱いを記載したものです。閲覧者が当記事を参考にして行った税務申告は閲覧者自身の責任によって行われ、当記事の内容に誤りがあり閲覧者に損害が生じた場合でも当事務所は責任を負いません。万が一記事の内容に誤りがある場合、お問い合わせフォームからお知らせいただけると幸いです。

社員食堂にまつわる所得税の課税関係

給与所得課税(現物給与課税)の問題

「社員食堂の解説でなぜ所得税の話が出てくるの?」と思うかもしれません。

会社員が雇用契約にもとづき会社から受け取る給与に対しては、給与所得として所得税が課税されます。

実はそれだけでなく、会社から何らかの形で従業員が経済的な利益を受けた場合についても、給与として課税されてしまうことがあります。これを現物給与ともいいます。
高額な商品券を勤め先から無償で受け取ったり、無償で高額な住宅の提供を受けるような場合は経済的利益としてイメージし易いかと思います。

ただし、別途所得税の非課税規定もあり、非課税の要件に該当する場合は課税対象とはなりません
たとえば会社の創業記念品として会社のロゴ社名入りのボールペンを貰ったとして、「この記念品、実は5,000円したものだから5,000円をあなたの給与明細に給与収入として載せて所得税も負担してもらわないといけません」とはなりません。このような場合は基本的に非課税となります。職務上欠かすことが出来ない支給品の受け取りであったり、受け取る側に物品の選択の余地がないものや、政策上の配慮など、様々な事情を考慮して非課税の規定が定められています。

このような現物給与の課税・非課税は、社員食堂においても問題となります。

会社が社員食堂の料金を一部従業員のために負担している場合について給与として従業員の所得税の計算上課税対象(源泉徴収対象)となるのでしょうか?

食事代を補助したときの課税ルール

従業員等に支給する食事は、以下の要件をいずれも満たしている場合は、給与所得課税の対象外(非課税)とされています。

・従業員等が食事の価額の半分以上を負担していること。
・食事の額から従業員等の負担額を控除した金額の合計が1か月当たり3,500円以下であること。


 ※消費税は除いて判定します。
 ※従業員等とは、従業員および役員を指します。

上記の要件を満たしている場合は非課税として取り扱われます上記の要件を満たしていない場合は、食事の額から従業員等の負担額を控除した残額が給与として課税されることになります

物価が高騰している現代ではかなり厳しいルールとも考えられますが、以上のような規定となっています。

社員食堂にまつわる消費税の課税関係

販売取引 - 昼食代収入の消費税

昼食代収入の消費税区分

会社が自社で社員食堂を運営している場合では消費税の課税売上げの判断が問題となります。

まず、社員食堂において従業員に無償で食事を提供する場合、対価性がないことから、消費税の課税要件を満たさず、消費税は不課税となります。

一方で、従業員に有償で食事を提供する場合は、対価性があるといえます。したがって、たとえ福利厚生目的であっても、消費税の課税売上げに該当することになります。

昼食代収入の税率

社員食堂で提供する食事は、「食事の提供」に該当し、軽減税率の対象とはなりません

仕入取引 - 社員食堂の運営のための支出の消費税

社員食堂を直営で運営する場合に発生する支出

社員食堂を直営で行っている場合に支払う、原材料の購入代金や水道光熱費等の社員食堂の維持費用は課税仕入れに該当します
一方で、社員食堂に従事する自社の従業員給与については課税仕入れに該当しないため注意が必要です。

社員食堂の運営を外部に委託する場合に発生する支出

外部の事業者に委託している場合の運営委託費は、課税仕入れとなります

また、社員食堂を設置している会社が委託先の食堂運営事業者と取り決めて、1食あたり100円割引で食事を提供させ、委託先が100円割引した部分について、会社が委託先から請求を受けて負担する事例では、その会社負担部分(社員への補助相当)は課税仕入れになります
なお、この場合、給与所得課税の対象となるかどうかにかかわらず、課税仕入れとして取り扱って差し支えないとされています。

一方で、食券の購入代金を会社が従業員から預かって、委託先の食堂運営事業者に支払う代金の一部に充当する場合には、会社にとっては預り金に過ぎないことから、不課税とされます。

課税仕入れに該当する場合の用途区分

個別対応方式により仕入税額控除を計算する場合の用途区分は原則として課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分されることとされています。

参考法令:所基通36-38の2消基通5-4-4軽減通達10軽減税率Q&A49質疑応答事例(会社が負担する社員の食事代金)

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